泣き顔の白猫
「バカみたいに……私、なんにも知らなかったんです。警察の人に、罰ゲームだって知って腹が立ったんだろうって言われて、やっぱりそうだったんですかとか聞き返しちゃって、ふざけるなって言われました。その時始めて知ったんです。畑野くんが松前さんと付き合ってたことも」
名波の話し方は、言い訳がましく同情を引くようでもなく、怒りが籠っているわけでもない。
ただ淡々とした声色に、よくわからない恐ろしさを感じる。
「私と畑野くんの喧嘩を見た人がいるとか、殺してやるって言ったのも聞かれてるとか、松前さんにもひどいこと言ってるの見たとか、私がいつもナイフを持ち歩いてたっていう証言があるとか。事件のあった日、畑野くんが亡くなった七時頃に、学校の近くで私を見た人がいるとか……意味のわからないことばっかり言われて、困っちゃって」
それほど困っていないような口調。
加原は、少し頭を動かした。
名波の声が、暗い店内に響く。