泣き顔の白猫
男として率直に言えば、それほど魅力を感じない、ストイックなライン。
加原だってそれほど細い子が好きなわけでもないが、女性らしいに越したことはない。
否定はしないが好みではない、特に興味もわかないタイプだ。
それなのに、オフホワイトのロングスカートを見て、なぜか思っていた。
(あのスカート、名波ちゃんに似合いそう……)
テーブルに脇腹を向けて腰かけて、頬杖を突いて、ぼんやりと眺めながら、そんなことを考える。
すると、ふと加原の視線に気付いた一人が、顔を上げた。
逸らす間もなく、目が合って、「あ」と声が出かかる。
さすがに思いきり見ていたので、あからさまに目を逸らすのも気が引けて、気まずいまま、小さく笑う。
目を丸くして曖昧に笑みを返した女性と視線を外すのに、誤魔化すようにカップを口に運んだ。