泣き顔の白猫
「あぁ……や、しないよ。しないけど」
一人で勝手に焦ってしまった照れ隠しに、「てゆうか」と前置きをして、加原は言った。
「森ガールってもっと草食系な感じだと思ってたわー。意外と逆ナンとかすんのかな」
へらりと笑うと、名波が加原にもわかる程度に、不思議そうな顔をする。
「森にも肉食動物はいますよ?」
「え?」
「キツネとか?」
あぁ、と曖昧に声を出す。
なにか噛み合っていない。
たぶん、『森』や『草食』といったキーワードでそう言ったのだろう。
不思議そうな顔はきっと、加原が唐突に全く脈絡のない話を始めたように思えたからだ。
(意外と天然なのか、世間知らずなのか……)
そんなところが少し可愛い、そして“らしい”と思えてしまうのは、加原の贔屓目だ。