泣き顔の白猫
「うちの課で噂になってんぞ、最近の加原の飯は、いっつも『喫茶りんご』だってな」
「え!? ちょっ、なんでそれ」
「バレバレだっつの。俺だって『かつき』ができる前は通ってたし、あとな、あそこのメニューに焼きそば入れてくれってリクエストしたの、係長だよ」
「そうなんですか!?」
目を丸くする。
加原が反応したのは、係長の話だ。
安本が『りんご』の常連だったことは、すでに十分知っている。
そもそも加原が最初にあの店に行ったのも、就職したばかりの頃、安本に連れられてだったのだ。
もっとも本人が言うように、最近は近くにできた定食屋が専らお気に入りで、足は遠のいているようだが。
それよりも、上司が『りんご』の常連だったことには、素直に驚いた。