泣き顔の白猫


「え? 本田係長、かなり食細いじゃないですか」
「バぁカ、お前と比べたら誰でも少食だよ。一回病気したせいだろ……係長が現役バリバリの頃はな、思いっきり肉体派だったらしいぞ」
「へぇー、てゆうか、『りんご』ってそんなに前からあったんですね」
「まぁな、俺が入った頃はもうあった」
「っていうと……」

じゅう、に、さん、と呟くと、「十四年前」と訂正が返ってきた。

「へぇー……、あ」

は、と気付いて、軌道修正にかかる。
いつのまにか、随分脱線してしまっていた。

「や、そういうことじゃなくて。どっから情報漏れてんですか? そういう、晩飯どこで食ってるかとか」

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