泣き顔の白猫
「てゆうか俺なんかのそんな話、何が面白いんですか」と、半ば呆れたように、加原は言う。
大袈裟な反応をやめたのがつまらなかったのか、安本は片方の眉を跳ね上げた。
「まぁまぁ、色々な。刑事なめちゃいかんよ」
「職権濫用ですよー?」
「“ご近所付き合い”だろうが。で? 常連客? まさかマスターの娘さんとか?」
「えっとー、あ、マスターってお子さんいるんでしたっけ」
「おいおいおい、わかりやすくしらばっくれてんじゃねぇよ。吐いちまえよ、楽になるぞ?」
またしても、古い刑事ドラマばりの台詞回しで茶化す安本。
細かいことを言えば、“ドラマの刑事のよう”なのではない。
彼らは正真正銘、館町西署刑事部捜査課に勤務する、刑事なのだ。