Distance
_ プルルルルッ プルルルルッ _
日曜日、あたしは電話によって起こされた。
「お姉ちゃん、電話!」
そう言って妹の那美(ナミ)が部屋に入ってくる。
「うるっせーな・・」
ベットに寝転んだまま、那美から子機を受け取る。
着信履歴は公衆電話だ。
「・・誰だよ」
あたしは起き上がると、思いっきり不機嫌に電話に出た。
「・・はい」
≪もしもし、姉ちゃん!?≫
電話の相手は弟の浩太(コウタ)だ。
「何?あんた練習じゃないの?」
浩太は、小学4年生。1年生のときからサッカーをやっている。
土日は毎週、午前か午後の練習。
試合や合宿の日もある。
≪レガース、忘れたから持ってきて!≫
「はぁ!?」
浩太はそれだけ言うと、電話を切った。