ミラヘノラブレター

            *


「綺麗だね。」

「星月夜だからな。」

「星月夜って?」

「星が月みたいに明るい夜。」

「お月様は?」

「いない。」

「…あ、ほんとだ。」

「月もたまには休むんだよ。」

「んー…。」

「なんだ?」

「星は寂しくないのかな?」

「は?」

「お月様が居ないなんて。」

「……。」

「私なら一緒に居ないと寂しい。」

「はいはい。」

「また聞き流した…。」

「いいだろ別に。」

そう言いながら私の手をギュッとする。
"カレ"はいつも素直じゃない。

「そんなんで誤魔化されないんだから。」

「誤魔化してないし。」

「うー…。」

「はいはい。」

いつも子供扱い。
だけど好き。

「もしも逢えなくなったら?」

「そんなことないだろ?」

「解らないじゃない。」

「はいはい。」

「私は探すよ。」

「はいはい。」

「…そればっかり。」

「悪かったな。」

そう言って頭をポンポンとする。
"カレ"の癖。

「大丈夫。いつも隣にいるよ。」


          *

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