まだ好きです(完)
俺は今まで何をしてきたんだろう。何度同じ過ちを犯してきたのだろう。雛。ごめんな。いっつも一緒にいられない。俺は馬鹿だ。馬鹿すぎて、笑えて来る。雛に言いたい。記憶戻ったって。どれだけ、今まで心配してきたことか。雛はずっと俺のことを心配してくれた。いつか記憶が戻るって信じてくれた。いつか、を信じてくれた。
だから、はやく彼女に伝えたい。不安をやわらげてあげたい。俺はがむしゃらに…そう、去年の陸上大会の時のように、必死になって走った。


下げたズボンの裾をまくりながら、俺は校門を出ようとした。その時。


お決まりの着信音がスクールバックの中でなり響いた。誰だよ。俺は走る足をとめて、メールを開いた。


『退院したよ★』


は?????退院?これは、瀬羅からだった。退院って。はやいな。俺はそう思い、携帯を閉じた。そして後ろを振り返った。


「駿ー。」


「瀬羅……」

なんで、いんだよ。退院したばっかじゃねーの?


「駿に会いたくて!」

瀬羅はそういうと、俺の腕に瀬羅の腕を絡めた。瀬羅は今日どっかいこーと言って、俺の手を放さないように、がっしりと掴んだ。


「瀬羅。」

「あ!んじゃあ今日はここの喫茶店で飲もうー。」

「瀬羅。」

「おお!パフェ200円って安すぎ~~~!」


「瀬羅!!!!!!!!!!!!!!」


やべ。いきなり大きい声出しちまった。でも、もう言うしかない。



「何?駿…。」

瀬羅は困ったような顔をつくり、俺の方をみた。もう…俺には好きな奴がいるんだよ。


「瀬羅、もうおまえとは一緒にいられない。」


掴まれた腕。つながれた手を振り解いて、俺は走り出そうとした。


「まって!!!!」

瀬羅はそういうと、俺の腕を掴もうとする。

「瀬羅。俺には好きな奴がいる。そいつは今も俺の帰りをまってんだ。」

「約束したじゃん。ずっと一緒って。」

「瀬羅には、もっともっと色んな人と出会ってほしい。俺にだけ縛られてちゃ、未来なんて狭くなるだけだ。」

瀬羅はうつむいて、静かになった。


「瀬羅。」


「… ん?」


「海に溺れてた俺を助けてくれてありがとな。」


もう、ふりかえらない。


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