狼先輩。

そして、先輩の顔が近付いてくる……から、目を閉じた。


のに。



一向にキスされる気配はない。


ゆっくりと、目を開くと、もうキスできそうってくらい近くに先輩の顔があって。



ち、近いっ……!


心臓の鼓動がドクドクと速くなる。


「キス、して欲しい?」



至近距離すぎて、先輩が喋るとその吐息が全部私の唇にかかる。


こんなに近くに大神先輩の唇があるのに、触れない。



……なんだか焦れったい。


……キス、したい。


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