狼先輩。
「ことりちゃんを抱きしめたかったから」
「……え?」
「暗いと、ことりちゃんを抱きしめる口実にできるでしょ?」
ね?、と先輩は微笑みかけてくる。
カァッと自分の顔が熱くなっていくのがわかった。
何、言うんですか。先輩は。
私になんか全然興味ないくせに。
女の子には誰にでもそういうこと言うくせに。
……そうわかってて、ドキドキしてる私はなんなんだろう。
異性にこんなこと言われたことがないからかな?
「……先輩のバカ」
膨れっ面をすると、先輩は私の頬をつんとつつく。
「そんな表情しても、可愛いだけだよ」
そう言うと、先輩は先に倉庫から出ていった。