夏と秋の間で・甲
「でも、それじゃあ・・・。」



 言葉を続けようとした瞬間、亜紀の言葉が覆いかぶさる。



「いいんだよ。私はずっと・・・ずっと、この場所に居て、望巳が来るのを待っている。連絡をくれればすぐに飛んでいくし、何があっても望巳の味方になってあげる・・・・だから、無理に振り向かなくていいよ。・・・でも私は、例え、望巳が私のことを嫌いになっても、望巳の方を向いている。絶対に。」



 最後の声は震えているなんてものじゃなかった。



 亜紀は、完全に泣いていた。



 なんで・・・・そんな悲しそうな顔をしているんだろうか?



「・・・・・・ありがとう。」



 本当はもっと違うことを言いたかったのだが、結局、望巳の口から出てきたのは感謝の言葉だった。



 他に言葉が見つからない自分が少し情けない・・・・。



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