月天使

「月っ…。」


結大がまた困ったような顔をした。

分かってる…むちゃくちゃな事、言ってるのは…

でもね。


「あたしの好きな結大は絶対諦めない。
優しくて大きな背中を持つ男なんだ…。」


ほら…言ってよ…。助けようって。

あたしとなら出来るって言ってよ…


言って…言え…。言え―――っ…!!


「何で黙ってるのっ…!!」


あたしは思わず結大から離れた。


「………だってな…。」


「えっ…。」


結大の顔付きが変わった。


「俺だってな、佳那を助けたい。けど、一度でも闇に染まれば戻れない。月の神様が言ってた。」


結大は真剣な表情を変えずに話した。


「そ…そんなっ!!」


信じらんない。信じたくない。

佳那はもうあたし達のところには

二度と戻ってこないの!?


「月。佳那は次俺達に会ったときには
きっと佳那は俺達を殺しに来るだろう。」


その言葉が胸に刺さった。

せっかく出来た唯一の繋がりが…


佳那があたし達を殺しに来る…。

もう訳が分からない。


そんな感情に囚われてた時に


「一つだけ希望はある。」


という結大の一言があたしの

心に光を灯してくれた。
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