LOVE PRINCESS(陽呂&心菜)



すごくすごく気持ちがよくて。



ふと瞼を開けると、窓の外は真っ暗で雨が降り出していた。


視点を変えると、窓に映る私の姿。


の横に……陽呂!?



横に座り肘を付き、私を見下ろしている。

そして……もう片方の手で私の髪を触ってる。



いつもみたいに『何してんのよっ』なんて喧嘩ごしにも言えなくて。

どうしていいのか、わからなくて。



ただ聞こえる雨の音と、時折吹く風の音だけが聞こえた。



――ドキドキドキ

それと私の心臓の音。


「……っくしゅ」

「えっ?」


静かな教室に響き渡る私のクシャミ。


自分でも馬鹿だと思う。


すごくすごく気持ちのいい時を、自ら壊したんだから。


「心菜さん! 大丈夫ですか?」


心配そうな顔で寝たままの私を覗き込む。


「だっ、大丈夫よっ」


起き上がった私が、冷たく言い放った言葉と、陽呂の肩を押し返してしまった手に、後悔した。
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