シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】


「ブラボー!!」



突然観客席から拍手と共にそんな声が聞こえ、あたしたちは我に返る。


『プリマ・ドンナ』の稽古が終わった直後らしく、

まだ実里が舞台の中央にいた。



「なんだ、あれ……」



観客席から拍手を送っている紳士に目を留め、涼介がこぼす。



「あれ、実里のお父さんらしいよ」



いつの間に近くに寄ったのか、エキストラの恵が忌々しげに言った。



「子離れすればいいのにねー。

普通、脇役やる娘の練習なんか、わざわざ見にくる?」



しかしそう思うのはあたしたちだけらしく、

実里と不愉快な仲間達は、紳士の方を向き、にこにこと愛想を振りまいている。



「あの父ちゃん、業界人だっけ?」


「そーよ。結構有名でお金もあるのに、娘が売れないから焦ってんじゃないの?」


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