シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
「身体中の血液を、逆流させてあげようか?」
口角の上がった唇が、片端だけ上がる。
だけど猫のような目は、少しも笑っていなかった。
ふと脳裏に浮かんだのは……
ホースから出た水を、自在に操る千影くんの姿。
今と同じ……指揮者のように、両肩を上げて。
「だめ……っ!!」
気づけば、叫んでいた。
しかし、千影くんは、構わずに腕を踊らせた。
「…、あ………っ?」
途端に、私を拘束していた手がゆるむ。
「が、あ……あぁ……っ」
男はナイフを地面に落とし、
その前に膝をついてしまった。
苦しそうに、胸を押さえて、
その顔は真っ赤になっていく。
ぶるぶると身体が震え、鼻腔から赤いものがぽとりと落ちて、
アスファルトにシミをつくった。
「やっ……、やめて、やめてっ!」
勇気をふりしぼり、千影くんに訴える。
すると彼は、ぴたりと手を止めた。