夢花火
「じゃあ、あなた一人でここまで来たんですか?」
沖田に尋ねられる。
「まぁ…そういうことになります」
「お前行き先は?」
「まだ考えてません」
「はぁ...。だったら何が目的でここに来たんだ?」
目的?目的...。
「...観光、ですけど普通に。金閣寺とか」
自分でも呆れるほど、言葉が矛盾しすぎている。
少しの間、沈黙が流れた。
土方は、少し考えて、沖田に小さな声で耳打ちした。
そして。
「…お前は怪しいから、ここから出すわけにはいかねえ」
私としては、早く出たいんだけど…。
「お前、剣道できるんだろ?」
「何で知ってる?」
土方は、私が持っていた竹刀袋を指さした。
未来から持ってきていたんだ…。
「…総司、稽古の準備をしろ」
「分かりました。でも、何で急に?」
「松林、お前もだ。お前らに手合わせしてもらう」
え……?