夢花火




一番右側に書いてある句を読んでみる。


「梅の花…。一輪咲いても、うめはうめ…?」


じっとその文字を見つめて、考え込んだ。

これは、どういう意味だ…?


「思った事を、そのまま書いただけだ」

「そうか。…でもこれ、そのまんまじゃないか?」

「うるせえ。俺の精一杯だ」


土方はそう言いながら、不機嫌そうに、ふいっと顔をそらす。


「でも、私は好きだな。ほら、特にこの句」

「どれだ」

顔をこっちに向け、土方は聞いてきた。

一つの句を、私は指さす。




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