夢花火
その知らせを聞いても、土方は涙を流さなかった。
「土方…」
「……」
「……」
…でも、心の傷はかなり大きいようだった。
「部屋に、戻る」
何となく、そこにいるのが辛くなって、その場から立ち去ろうとする。
しかし──。
後ろから、土方にぎゅっと抱きしめられた。
「…武士として、死なせてやればよかった…」
後悔と苦痛、様々な思いが詰まった声。
「土方…」
「もう、“鬼”は必要ねえよな…」
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