君にすべてを捧げよう
数日後、蓮の名前で丁寧な包装の包みが届き、開けてみればそれはいつかに約束していた水晶のネックレスで、でもメッセージカードの類は一切ついていなかった。


『なに……これ……』


こんなものが欲しいわけじゃない。
こんな約束を守ってもらいたいわけじゃない。


あんな風に突き放すくせに、どうしてこんなことできるの?
あたしのこと、そんなにもどうでもいいの?

あたしは、こんなものじゃなくって蓮の心が、欲しいんだよ……。


感情のままに、ネックレスをゴミ箱に投げ込んだ。
けれど、すぐに、泣きながらそれを拾い上げた。



あたしの為に選んでくれた、あたしの為の世界のネックレス。
みっともないことが分かっていても、情けなくても、それを捨てることはできなかった。
失いたくなかった。


それ以来、蓮とあの夜について話したことは、ない。

半年ほど経った頃、蓮は何でもないような顔をしてやってきて、離れに籠もった。
傷つきたくないあたしもまた、何でもないような顔をして迎えたからだ。
それは五年も続いた。


だけど――




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