君にすべてを捧げよう
鏑木さんの目が、あたしを見つめる。
じ、と見つめられて、それはついさっきのあたしの迷いを見透かしているようだと思った。
鏑木さんは、あたしの中の心の揺らぎを見つけようとしている。

そこに何かを見出されるとすれば、それは鏑木さんを大きく裏切ってしまうことに他ならない。


「……て」

「ん? なに、ハイネ」

「大事にして、ください……」


振り絞るように言う。
驚いたように、鏑木さんが瞳を大きく見開いた。
次に、くすりと笑う。


「今でも、してるつもりだけどね。でも、かしこまりました」


唇を重ねられ、今度はそのまま、押し倒された。
ぽすんと布団に躰を横たえる。
さっきまで見下ろしていた顔が、真上から見下ろしていた。
いつもの柔和な色が消え、熱を帯びた瞳がそこにある。


「あ、あの……」

「今から俺だけ見ててよ、めぐる」


低い声で、下の名を初めて呼ばれた。
それだけで、ぞくりとする。


「ていうか、そうするけど」

「か、鏑木さ」


名を呼びかけた口を、唇で止められる。
舌でぺろりと舐めた鏑木さんは、言った。


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