君にすべてを捧げよう
聞くなり、さくらちゃんは店を飛び出して行った。
乱暴に開け放たれたドアがぎしぎしと揺れる。


「えー!? 鏑木さん彼女出来たんすか? 最近そういう話聞かなかったけど!」


馬渡くんが大きな声で言うと、さくらちゃんのいなくなったドアを見つめていた智が振り返った。


「いるよー。めちゃくちゃかわいい子だよ」

「まじすか!?」


鏡越しに、智と目が合う。
にっこりと笑いかけられて、心臓が跳ねあがった。
つーか、平然と何言ってんの!?
そういうこと、言わないでよ!
反応に困るから!


「そりゃもうー。もう遊ばなくてもいいかなーとか思うんだよね」

「すっげー。鏑木さんにそこまで言わせるってどんだけいい女なんすか!
ねえ、ハイネさん!」

「は、はいぃい?」


いきなり同意を求められて声が裏返った。


「い、いや、知らないけど。まあ、どうだろうね? 普通の子かもよ?」


とりあえず慌てて誤魔化す。
馬渡くんはそんなあたしの態度に全く気付かずに、ため息をついた。


「あの子を振るんすよ? いい女ですよ、絶対。やっぱ愛水ちろんみたいな爆乳すか?」


最後の言葉は、智に向けられていた。


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