君にすべてを捧げよう
どうしてそこで愛水ちろんなんだ。
って、そういえば前にあの子のDVDを観たようなこと言ってたっけ。
愛水ちろん、好きなのかな。


見下ろせば、人並み程度の胸。
貧乳だというほどではないが、豊かとは言い難い、そんな微妙な大きさである。

うん、ちろんみたいなスイカ級ではないよね。
さっきのさくらちゃんも、おっきかったな。

ふうむ、本当は大きいのが好みなのか、と思っていると、急に智が笑い出した。
あはは、と体を折って、愉快そうに笑い転げている。


「ど、どうしたんですか、鏑木さん!?」

「い、いや、別に……」


笑いすぎたのか、目に涙をにじませた智はあたしに視線を流した。
それがどうも、あたしの胸元に向けられている。


き、気付かれた!?


くう、と唇を噛むと、智は再び笑いだす。
絶対、気付いた。


「な、なんでもない。えーと、カルテの整理しようっと」


むう、とあたしがむくれたのに気が付いた智は、まだくすくすと笑いながら、カウンターの奥へと行った。
それから閉店するまで、思い出したように笑うものだから、悔しくてならなかった。



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