君にすべてを捧げよう
「めぐる、今日泊まってく?」

「んー、いいの?」

「俺は、喜んで」


仕事帰りに、智のアパートに寄った。
最近はこういうことが増えた。

智は狭いと言うけれど、1LDKのアパートは妙に居心地がよく、狭いベッドもまた心地よかった。
手を伸ばせば触れ合える、そんな部屋がいい。
母屋と離れに別れてしまえば、相手の息遣いも気配も分からない大きな家は、あたしにとって苦痛になり始めていた。

あたしの荷物は着々とここに溜まりつつあり、一泊位なら着替えを取りに帰らなくても出勤に困らないようになった。


「なに食べたい?」

「んー。魚のフライ」

「いいよー。じゃあタルタルソース作って」

「ん」


狭いキッチンで並んで料理をするのは、不便なのだけど楽しい。
一緒に食べる食事も、ずごく美味しく感じるのだ。


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