君にすべてを捧げよう
「――え!? 店辞めるの!?」
もう一つの重大な告白を智の口から聞いたのは、狭いベッドで汗ばんだ躰をくっつけていた時だった。
心地よい気だるさにうとうとしかけていたあたしは、その言葉で目が覚めた。
「うん。何ヶ月か前からそういう話はしてたんだけど、今日オーナーに正式に伝えた。今月末で、退職」
「な、なんで……?」
「一つは、めぐるとのことを隠したくないからなんだけどね。もういい加減、誰にも言えない関係っていうのが、苦痛」
「え、いやそれは公表すればいいじゃない!」
「えー、恥ずかしいとか、公私混同したくないとかあれだけ言ってたのに?」
「う……」
「それと、もう一つ。まあこっちがメインというか、俺の実家が美容室やってるって、言ったよね?」
「う、うん」
御両親が二人で経営していると言う話は知っている。
「オヤジがさ、三か月ほど前に脳梗塞やっちゃって、鋏持てなくなったんだ」
「え……」
「リハビリとかやってたけど、以前のような仕事は二度と望めないだろうって。それでさ、お袋一人じゃ続けていけそうにないし、いっそ店を閉めようか、って話になったんだ。
二人とももう年だし、近くにはバリバリ働いてる兄貴夫婦がいて、もう無理して働かなくていい、ってそれを後押ししたんだよね」
そう言えば、智は最近実家に帰ることが多かった。
親の機嫌取ってくるねー、とか明るく言っていたし、別段気にしてもいなかったけど、そういうことだったのか。
もう一つの重大な告白を智の口から聞いたのは、狭いベッドで汗ばんだ躰をくっつけていた時だった。
心地よい気だるさにうとうとしかけていたあたしは、その言葉で目が覚めた。
「うん。何ヶ月か前からそういう話はしてたんだけど、今日オーナーに正式に伝えた。今月末で、退職」
「な、なんで……?」
「一つは、めぐるとのことを隠したくないからなんだけどね。もういい加減、誰にも言えない関係っていうのが、苦痛」
「え、いやそれは公表すればいいじゃない!」
「えー、恥ずかしいとか、公私混同したくないとかあれだけ言ってたのに?」
「う……」
「それと、もう一つ。まあこっちがメインというか、俺の実家が美容室やってるって、言ったよね?」
「う、うん」
御両親が二人で経営していると言う話は知っている。
「オヤジがさ、三か月ほど前に脳梗塞やっちゃって、鋏持てなくなったんだ」
「え……」
「リハビリとかやってたけど、以前のような仕事は二度と望めないだろうって。それでさ、お袋一人じゃ続けていけそうにないし、いっそ店を閉めようか、って話になったんだ。
二人とももう年だし、近くにはバリバリ働いてる兄貴夫婦がいて、もう無理して働かなくていい、ってそれを後押ししたんだよね」
そう言えば、智は最近実家に帰ることが多かった。
親の機嫌取ってくるねー、とか明るく言っていたし、別段気にしてもいなかったけど、そういうことだったのか。