君にすべてを捧げよう
目が覚めると、室内は差し込む夕日でオレンジ色に染まっていた。
随分長く眠っていたらしい。
これだけ寝てしまうのなら、ベッドに入ればよかったかな。

んん、と大きく伸びをして、息をつく。


「よく寝たー」


シャワーを浴びて目を覚ましてから夕飯の支度をしよう。
一人だし、そうめんでいいかな。
と、玄関でチャイムが鳴った。


「誰だろ? はーい」

「俺ー。智ー」

「へ? 智?」


驚いて出てみれば、確かに智が立っていた。
もう、実家から帰ってきたのだろうか。


「どしたの?」

「あれ? メールしたけど見てない? ちょっと寄るねって送ったんだけど」

「あ。ごめん、寝てた」

「そっか。じゃあ用件だけ。今度、一緒に実家行ってくれる?」


智は笑って続けた。


「ぜひとも会いたいってさ」

「あ……、いい、って?」

「もちろん。めぐるが美容師だって言ったら、すごく喜んでた」

「よ、よかったー……」


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