君にすべてを捧げよう
「今、父さん仕事に行ってるよね? 帰ってくるころにまた電話するから、母さんはその間に落ち着いててね」


時間が立てば、母はあっさり許可すると思う。
元々、早々に子離れした人だし、今では旦那(父)との第二の人生に夢中なのだ。
娘が結婚となれば安心もするだろう。

父もまた同じようなものだし、何より智を見れば反対などしないだろう。


「よし、報告終わり、と……」


受話器を置き、定位置のソファに寝ころんだ。


「あとはつぐみに報告、かな……」


男っ気のなかったあたしが結婚するなど言えば、つぐみはウェディングドレスでも縫い上げそうな勢いで祝福してくれるに違いない。
母以上に泣くかもしれない。


ケータイを取り出しかけて、やめる。


「ちょっと、休憩……」


寝不足で、瞼が重たい。
智が寝かせてくれなかったから、結局日の出を見てしまったのだ。


「起きたら、電話、しよ……」


引きずり込まれるように、眠りの世界に落ちて行った。


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