君にすべてを捧げよう
「どれ?」


ひょいと覗き込んだ。
充血してしまっている右目の瞼を広げて見れば、短い髪がくっついていた。

ポケットに入れていたハンカチを取り出して、ちょいちょいと突つくと、髪はその先端にくっついて瞳から離れた。


「あ、とれたよ。ほ、ら」


顔を上げれば、蓮とばちりと目が合ってしまった。


「あ、と。ごめん」


慌てて身を引いたが、蓮があたしの腕を掴んだ。


「めぐる」


耳に心地よい低音が名を呼ぶ。
どきりとしながらも、そぶりを見せずに返事をした。


「な、なに」


蓮の目が、真っ直ぐに、射るようにあたしを見る。
掴んだ腕も、離してくれそうにない。

振り払おうとすれば、力任せに引き寄せられた。
よろけた体を、蓮の体と腕が抱きとめる。

強く力が込められて、息苦しさを覚えた。


「めぐる」

「苦し……、蓮、や……っ」


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