君にすべてを捧げよう
『めぐるがいるから、書けたんだ』


蓮の言葉が、頭から離れない。
どんな冗談なのだろう。
蓮の執筆を支えるなんて、そんなおこがましいことをした覚えは一度もない。

同じ敷地内で、朝夕を共にして、時間があれば会話をして。
なんでもない、ごく普通のことしかしてない。


なのに、どうしてあんなこと言うの。
過ごした時間に、意味を持たせるようなことをどうして言うの。
ここにきて、どうして心をかき乱すことを言うの。


「ふ……、え……っ」


ただ、涙が止まらない。
嗚咽がとめどなく溢れて、胸が潰されそうに苦しくて、そのまま死んでしまいそうになる。
子供のように、声を上げて泣いた。


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