君にすべてを捧げよう
「蓮…………」


本を抱きしめる。
涙が静かに流れる。

胸の内に吹く嵐をこらえ、ただ泣いた。


愛されてたなんて知らない。
感謝されてたなんて知らない。


あたしの前ではいつもわがままで自分勝手で。
乱暴で、平気な顔して傷つけて。


いつもの勝手さで、振り回してくれたらよかったのに。
あたしはそんなのへっちゃらだったのに。
蓮だったら、全てを受け入れられたのに。
全てを捧げられたのに。



でも、もう遅いよ蓮。
遅すぎるよ。

あたしはもう、結婚を決めた人がいる。
明日にはもう、ここを出ていくの……。



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