君にすべてを捧げよう
「あいつのところに、行くな」

「なに、急にそんなこと……」

「行くな、めぐる」


今更だ。
ここまで来て、そんなことできない。


「お前がここからいなくなるのは、嫌なんだ。ここにいろ」


相変わらず、勝手な言い方。
数ヶ月前には、あたしのことなんか拒否したくせに。
そのまま放っていたくせに。
かっとなって、蓮を突き飛ばすようにして離れ、叫んだ。


「馬鹿言わないで! あたし、結婚するって言ったでしょう!?
あの本みたいに、幸せを祈ってたらいいじゃない!」

「それができたら苦労しねえんだよ!」


蓮が、珍しく声を張った。
その迫力と勢いに一瞬気圧される。


「どれだけ我慢してもダメなんだ。気が狂いそうなんだよ!
黙ってここにいろよ!」


昨日の夜から壊れていた涙腺が、全開になった。
ぼろぼろと涙が零れる。


「なんでぇ? なんで、今更そんなこと言うのよ……。
あたしのことなんて、どうでもいいでしょぉ……?」

「どうでもいいわけ、ねえだろ。お前がいなきゃ、何にも文章が浮かんでこないんだ」


言って、蓮はあたしを抱き寄せた。


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