君にすべてを捧げよう
今度は、驚くくらい優しく。
柔らかく、壊れ物を扱うようにそっと抱きしめて、蓮は言った。


「傷つけて、泣かすと思う。呆れさせると思う。もしかしたら、俺に愛想尽かして離れたいと思うかもしれない。
でも、俺にはお前が必要なんだ」


耳元で、真摯に、どこまでも優しく、蓮は語る。


「お前の為なら、お前が笑ってくれるなら、どれだけでも話を作れる。書き続けられる。
だから、頼む。愛してるんだ」


全身の力が抜けた。
するりと蓮の腕を抜け、へたり込んだあたしは、子供みたいに泣いた。


「めぐ、」


その時、一台の車が中に入ってきた。
それは今度こそ、智の車だった。


「あれ? おはようございます、どうした……」


降りてきた智は、泣き崩れたあたしと蓮を見て、顔色を変えた。
厳しい顔で蓮を見つめる。


「どういうことですか、坂城さん? どうしてめぐるが泣いてるんでしょうか」

「すまん」


言うなり、蓮はその場に膝をつき、頭を垂れた。


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