君にすべてを捧げよう
荷物を蓮に押し付けて、リビング横のキッチンへ向かった。


「簡単なモンでいいぞ」

「わかってる! いいもの食べたかったら」

「早めに連絡、だろ。リビングにいるから、できたら呼んで」

「はいはい。うーん、何かあったかなー」


ため息をつくフリをしながら冷蔵庫を開ける。
こっそりと後ろを窺うと、蓮が頭をがりがり掻きながらリビングに戻っていくのが見えた。


嬉しい……、来てくれた。


思わず笑みが浮かびそうになるのを必死で抑える。
でも、嬉しくてたまらない。

前に来たのは2ヶ月ほど前だった。
久しぶりに会えた……。


さっき見上げた蓮の顔を思い出して、胸がじん、とあったかくなる。

あ、そうだ。蓮、痩せてたんだった。
ここにいる間にしっかり食べさせないと。

冷蔵庫の中身を見て、よし、と呟く。
昨日買い物行っててよかった。蓮の好きな魚、ちょうど買ってたんだ。
いっぱい、食べさせてやる。

普段はない人の気配を心地よく感じながら、料理に取り掛かった。


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