君にすべてを捧げよう
「いいかもしれんな。男に縁のない美容師を調教する、か……」

「ちょっと! あたしを見ながら言わないでよ!」

「あ、面白そうですねー。相手役は客、いや舞台を閉店後にするなら出入りの卸業者なんてどうですか?
閉店後に新商品の説明に来たりするんですよ」

「鏑木さん!? それは嫌なんですけど!」


出入りって、赤川さん(37)を連想するんですけど……。

あの人ゲイだし。
あたしなんて眼中ないし。
ていうか鏑木さん狙いだし。

そもそも、そういう設定やめてええええ!!


「卸業者、なるほど。いや、やっぱり現場の人はいい案出しますね」

「いえいえ」

「ねえ、もうそういうの止めてくれないかなー、蓮」

「スタンダードに客というのもいいが……先輩ってどうですかね? 鏑木さん」

「鏑木さんも、蓮の相手するのやめてくださいー」

「ああ、いいですね、それ。指導する、なんてかたちで」

「ふむ、いいな。ありがとう、纏まりそうだな」

「あーもう。蓮、怒るからね」


不機嫌を声音に滲ませて言った。


「もう終わったんだし、帰ってよ。仕事終わってないんでしょ?」

「いや、これも仕事の内なんだが……あ、いやもう帰るかな。
夕飯にとんでもないものをだされそうだ」


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