君にすべてを捧げよう
日曜日、我が家に来るってこと?

いや、あの荷物が減るのは大いに助かることだけど。
でも、あれでしょ?
さっきみたいなAV談義みたいなのをしに来るっていうんでしょ?


うわ、やだ。
ていうか、蓮の馬鹿。
仕事に追われてここに来てるくせに、何優雅に人様呼んじゃってるの?


「では、日曜にお待ちしています。めぐる、今日何時に終わるんだ?」

「は? そんなの」


そんなの蓮に関係ないでしょ、と言いかけた。


「迎えにくるから。バスじゃ大変だろ」

「え……。来てくれるの? だって、仕事は?」

「どうにかなるからいい。何時だ?」

「多分、19時だけど。あ、店閉めたら電話する。そしたら家出てくれる?」

「いいぞ」


あたしって人間は、すごく単純で馬鹿な生き物だと思う。
蓮が迎えにきてくれるっていう、それだけで機嫌が直ってしまった。


「じゃあ、仕事頑張れよ」

「うん! 気を付けてね?」


帰っていく蓮を、笑顔で見送った。


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