瞬きさえも忘れていた。
「いつからアウトローになったんですか?」

仏頂面のままで返した。


岩本さんの冗談にツッコんでしまうのは、彼と一緒に過ごすうちに身に付いてしまった習慣で。

私にとって岩本さんの存在がどれほど大きなものか、それを嫌というほど自覚して、また切なくなった。



そんな私の気持ちなんかお構いなしに、

「今日から」

なんて、シレッと涼しげに答えて、岩本さんは顔をくしゃっとさせて笑う。



私の隣に並んで腰を落とした岩本さんは、胡坐をかきながらも私を真っ直ぐ見詰めて、

「ご飯、もう食べた?」

と、心配そうに小首を傾げて問う。



「まだです」


「休憩終わっちゃうよ?」



どの口がそれを言うんですか。

あんなことが有った直後で、悠長にお弁当なんか食べられるわけないじゃない。



「何しに来たんですか? 何か言いたいことがあるんでしょ? はっきり言えばいいじゃないですか。まどろっこしいことは止めてください」


思わず、激情の赴くままに、岩本さんを激しく責めた。


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