瞬きさえも忘れていた。
「あそこで梨乃をかばったら、余計に事を荒立てると思った」

少しも考えることなく、岩本さんは答えた。



一瞬たりとも逸らされることのない視線が、じりじりと焦げ付くように熱い。

言い訳なんかじゃないと、その目の中の漆黒が頑なに主張している。



岩本さんは正しい。

でも、その正論さえ気に入らない私は、何も言い返せないまま下唇をキュッと噛んだ。



「だから、」

そんな私を気遣うように、岩本さんは柔らかい口調で、静かに言葉を紡ぐ。



「――――謝りに来た。ごめん」



私の中で何かが弾けた。

溜りに溜まったものが雫となって、目から勢いよく流れ出る。



「謝らないでください。岩本さんは正しいです。だから、謝らないで」

咽び泣きながら、必死で言葉を押し出した。



「でも、だけど……諦めたくないです。


陽奈乃さんが妊娠してないなら、岩本さんのこと諦めたくない」



うっかり漏らしてしまった真実。

ハッとして、咄嗟に両手で口元を覆ったけど、目の前にいる人がそれを聞き逃すはずもなく。


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