瞬きさえも忘れていた。
「アイツが……陽奈乃があんな風になったのは、俺のせいだから」


やけに落ち着いた口調でそう答えた岩本さん。

全てを諦めたような疲れ果てた笑顔が余りに痛々しくて、また私の口から嗚咽が漏れ出た。



「俺が陽奈乃を裏切ったから」


「『裏切り』……ですか?」



それは――

大切な人を自分のせいで壊してしまった、そういうことですか?

私とのことは彼女への『裏切り』だった、そう言いたいんですか?



『てかさ、まだ気付いてないの? あんたは私の代わりだったんだよ?』


陽奈乃さんの言葉が、頭の中で何度も何度も繰り返し鳴り響く。

思わず、耳を塞いで俯いた。



「私は……私は陽奈乃さんの代わりだったんですか?」


俯いたまま必死に絞り出した声は酷く震えていて。


ゆるゆると顔を上げれば、岩本さんは呆然としてそんな私を見詰めていた。



「その質問――

――どうしても答えなきゃダメ?」


ふわっと。

何故だか岩本さんは、柔らかく微笑んで聞き返す。


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