瞬きさえも忘れていた。
「ん?」

と、彷徨わせていた目線を、向かいの吉田さんに戻す。



「梨乃ちゃん、落ち着いて聞いてね」

吉田さんは、何やら意味深な前置きをし、そこで一呼吸おく。



「陽奈乃さん……だっけ? 岩本くんの彼女」

続いた言葉は酷く唐突に感じたけど、なんとなく予感していたところもあって。


自分でも不思議なぐらい驚きもなければ、動揺もなく……。

吉田さんに言われた通り、ちゃんと落ち着いて聞けそうな気がした。



「彼女、結婚するんだって」

意を決したように吉田さんは言った。


これも予想通りだったけど、何となく気持ち悪い違和感が生まれる。



「そうですか。私なら大丈夫です。全然驚きませんよ。てかむしろ、『今更?』って感じです」

心配そうな面持ちで見詰められたりするもんだから、大袈裟なぐらい明るく笑い飛ばした。



岩本さんと陽奈乃さんが、いずれ結婚するなんてこと、十分過ぎるぐらいに分かり切っていた。今更驚いたり、ショックを受けたりなんかしない。


でもやっぱり、複雑な心境ではあるかも……。


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