星の輝く夜空の下で
第一章
出逢
学校の帰り道に地べたに横たわる男に出会った
幽霊だ
左には川が流れてて
すごい田舎ではないけどそれなりに自然に溢れてる場所だ
ここではよくある出来事なので夏芽は気にせず歩いた
運悪く男は夏芽に足を踏まれてしまう
「いっっっってぇー!!!!」
夏芽は無視
「おい!!そこの女!!謝れバカ!!」
男の幽霊は起き上がった
「道の真ん中で寝てるヤツが悪い」
夏芽は振り向かず歩きながらボソッと言った
「ふざけんな!!人が寝ててもよけんだろ普通!!」
幽霊はどうやら小さな声が聞こえるらしい
地獄耳ってやつだ
空気中に響いているのだろうか
「すんませんね。普通じゃないんですよ」
だいぶ距離は離れたがまだ通じる
「だろうな。お前変人だろ?…ってか、ここどこだ。見たことねぇぞ…」
気がついたらここにいたor今いる場所が分からない=死んだばかりという
夏芽の幽霊方程式がある
多分、この幽霊は自分が死んだってことすら気づいてない
「なぁ、ここどこだよ」
幽霊は夏芽の後をついてくる
「なあ…」
夏芽は無視して歩く
「どこ?」
「話しかけないでよ!!」
夏芽は幽霊を蹴飛ばした
幽霊はもちろんぶっ飛んだ
「ってぇ…!!ふざけんなよ!!」
「それはこっちの台詞だ!!あたしは生きてる人間。あんたみたいな幽霊としゃべると周りはあたしを独り言してるおかしな子に見えるんだ!!」
それで、何度も傷ついた
いじめられたり、
友達が出来なかったり、
裏切られたり…
だから朱子としゃべるときはいつも片手に携帯電話を持っていた
悲しい過去を思い出した夏芽は気づいたら涙が出てた
「ゆ、幽霊?」
「そうだよ!!あんた幽霊だよ!!多分死んだばっかり!!だからあたしはあんたの足を踏んだときも感覚なんてない!!ただ道を歩いてただけなの!!」
幽霊は唖然としてしまって動かなくなった
「お願いだから近寄らないで。二度と現れないで!!」
夏芽は走って逃げた
幽霊は立ちすくんだままだった
春だからまだ陽が短く辺りは薄暗くなっていた
しばらくして幽霊はふと空を見上げた
夜空に一番星が浮かんでいる
「あ…、ホシヤ…俺の名前はホシヤだ」
名前だけは何故か思い出した
星の夜と書いて星夜(ホシヤ)
それだけが幽霊の唯一の記憶だった