禍津姫戦記
 熱く、まっすぐな言葉だった。
 姫夜は立ちあがった。

「いいだろう――ハバキとこの戦さの行く末を神に問おう」

 神門に神は降りたもう。
 姫夜は石の柱にむかって叩頭し、瞑目した。
 ハバキはそのそばにひざまずき、こうべを垂れた。
 姫夜はかつて、父と母から教わった通り、波だった心の水面がないでゆき、すっかり鎮まってうつろになるまで、細く、深く。息を吐き、吸うことをくりかえした。
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