禍津姫戦記
「いや、わたしのほうがぼんやりしていた」

 姫夜は転がった芋を拾おうとした。
 手をのばした拍子に、同じく手をのばしたアゲハの手をつかんでしまった。思わず二人は顔を見合わせた。
 アゲハは、ひっと息を吸い込んで固まった。
 姫夜はあっけにとられて、アゲハのあかぎれだらけの手と顔とをみた。
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