溺愛MOON
次の日、朝家を出ると、管理人のおばちゃんが表を掃き掃除をしていた。

私ひとりの為に申し訳ない。


そのままおばちゃんと少し立ち話をした。


雨漏りの話とネズミがいるらしいという話をするとおばちゃんはシマッタというような顔をしてからニコニコと愛想笑いをした。

私はそれを見ておばちゃんはネズミの存在を知っていたに違いないと思った。


それを裏付けるかのようにおばちゃんは「夕方、煮物持ってきてあげるね」とゴマをするように私に言った。


いつかネズミ達が壁を食い破ってこっちに入ってくるかもしれない。

ネズミの一家が私の部屋へ引っ越してくるかもしれない。

そう考えると背筋がブルブルッと寒くなった。


早く、早くここから出たい。

私の思いは切実なものになっていた。
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