溺愛MOON
かぐやはきっと、元いた世界のことを考えてた。


そう思ったけれど、かぐやに身を委ねて身体の力を抜いた。

今は私だけのかぐやだから。


忘れて。

忘れさせて欲しい。


全部、全部忘れてなくなっちゃえばいい。

世界に、かぐやと私だけになればいい。


ぎゅうっと力を込めて華奢な身体に抱きつく。

かぐやは「怖いの?」と言って、子どもをあやすようにぽんぽんと背中を撫でてくれた。


怖いのは台風じゃない。

私が怖いのはかぐやを失うこと。


私の世界からかぐやがいなくなっちゃうことだ。


「かぐや……」

「何」

「お願い……。私から離れないで……」

「……」

「もっと傍に来て……」
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