溺愛MOON
近所のおばさん達が私にも色々とおかずを持たせてくれるので、私はそれをかぐやの家に持って行って一緒に食事をするのが習慣になっていた。


その日は雨だったから、高橋さんのところに売り上げのお金を届けて、腰が痛むという高橋さんにマッサージをしてあげて帰るのがいつもよりも遅くなった。


私は自分の家に帰るより先に、かぐやの家の戸を開けた。

かぐやは私が帰ってくるまで鍵を開けて待っていてくれるようになっていた。


「かぐやー、ただいま」


ひょこっと部屋に顔を覗かせると、かぐやはこちらに背を向けてちゃぶ台の前に胡坐をかいて座っていた。

ハッとした表情でこちらを振り返るかぐやの耳には黒い携帯電話が当てられていて、私の胸はドクンと嫌な音をたてた。


別に携帯電話で話をしてることはおかしなことじゃない。

話の内容が聞こえたわけじゃない。


けれどかぐやが文明の利器を扱っていることに。

私の視線を避けるように携帯を切ってポケットにしまったことに。

ものすごく動揺している自分がいた。


心臓がハイフラになる。

喉が急激に渇いていく感覚がした。
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