ソラナミダ





昼休みー……






「……はあ?!あの晴海くんが?!」


「…しーッ!美帆声大きいっ。」


私は慌てて美帆の口を塞ぐ。


人気ジェラート店の列に並ぶお客さんが、じろじろとこっちを見ていた。


美帆は声を潜める。

「…だってだって、友達だって聞いてたけど…確かにお隣りさんかもしれないけど…。まさかのまさか、家にたびたび遊びにくるって…!【あの】人気俳優がだよ?!そりゃあわこはパッと見かわいい女かもしれないけどさ、半ば干物女の代表格じゃん!ド・一般人だし!」


「……所々失礼だけど、その通り。」


「……てか、何してんのよ、二人きりで。」



「………。美帆、何頼む?」


「……あ、ベルギーチョコとパンプキンダブルで。」


「…それと、宇治抹茶とカルピスのダブルお願いします。」




美帆はウズウズとした様子で、あいてるテラス席を陣取ると……


パンプキンを一口口に含んで、じっと私の方を見た。




「…なるほどねぇ…。だから最近浮かれてるんだ?」


「や。別に浮かれなんかないし。」


「急に女度上がったし?…の、割に久住さんとのラブは感じられないし?」


「…普通だよ、博信とは。」



「でも晴海くんが来るってことは…、もちろん久住さんはいない時でしょう?」


「…そりゃあ、まあ。」


「…いつ会ってんのよ、久住さんとは。」


「…前は毎日のように来てたけど、やっぱりお互い仕事が忙しくて…、そうもいかなくなった。博信が連絡くれたとき。その時に会ってる。」


「…アンタはそれで寂しくないの?」


「…いや、前もそんな感じだったし。」


「…それを埋めてくれるのが晴海くんってワケ?」


「…それはまた別だよ。晴海くんだって気まぐれで、来たい時に来るだけだしね。」



「…わこから誘ってるわけじゃないんだ?久住さんも、晴海くんも。」




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