ソラナミダ

「アピールかあ……。」



会社に戻り、大量の資料にホチキスを施しながら……



ぼうっと考える。




そうか……、今、さみしいとさえ思わないのは晴海くんがいるからで……。



でも、それが理由になるのも可笑しくて……。




博信と一緒にいたい？




……うん、そりゃあ…



いれたら幸せだなあって。




「………せ……」



はあー………っ



これは……


なんていう名目の悩みなの？




「……平瀬っ！」



「……！は、はいっ？！」



気づけばその当の本人が目の前に！



「…なんだ？恋煩いか～？」


ふざけて言ってのける彼だけど……


いやいや、今最もリアルなご意見？



「や、やーだ、ちがいますよう！」



バシっと胸元を叩いてごまかすが…



「…いてて……」


博信は痛みで顔を歪める。



「…わっ…、すみません、つい！」



「いやいや、そのくらい元気有り余ってるならひと仕事頼まれてくれないか？」



「…へ？」


「新人に、モニター調査させてやれ。」


「…えっ。」


「人の意見を受け入れられるのは若いうち！柔軟さが求められる。それにはあの子は打ってつけだ。」



「…あのー……」



「ん？」



「私もまだ若いですよ？」



「残念！フレッシュさが足りない。」



むむっ……



「企画・制作部のエース直々に鍛えてやりなさい♪」



…もう……、
うまいんだから……。




「……エースではないですけど…、わかりました。」



「よしよし、頑張って。」



にっこり笑って背を向ける彼にー……




「………あのッ！」



思いきって、声を掛ける。



アピール、


アピール……！




「……？どうした？」



な…
なんか……


会社だからかな。
緊張ー！！



「……えっと…。久住さん今日は早くあがれますか？」



「………？うん？」



「えーと………」



あわわ…

言葉がでない。


ああ～！
美帆、こっち見ないで～っ！



「…それって誘ってくれてんの？」


「…えっ。」


さすが博信…、
気づいてくれた？



「『飲み』に。」



「……はいい？」



伝わり……きれてなーい！