ソラナミダ
彼は自嘲ぎみに笑って、それから……
聞こえぬくらいに小さな声で、呟いた。
「結局…その程度なんだな。」
「…………!」
「電話…いい加減に出たら?また鳴ってる。」
「…………。話は…それで終わり?」
「…………。」
「……私は…、言いたいことも言わせてもらってない。」
「……いまさら何を…。」
「…私は、どんなことにも動じず自分の意を貫く貴方に惹かれた。自分の信念だけに従順で、周りに左右されずに……。」
「………。」
「どれだけ、私を見くびっているの?貴方の近くで、貴方が仕事に打ち込む姿をずっと見てきた。いつか、追いつきたいと思ってきた。『代わりがいない』?確かに誰しも博信みたいに機転がきいて、器用に何でもこなせる訳じゃない。でもあなたの姿を見て…学んだことも沢山ある。なぜ仕事にプライベートを持ちこむの?自信がないから、言い訳?それから、私は置いていかれて、何もできないだろうと…そう言いたいの?」
「そんなことを言ってるんじゃない。」
「言ってる。」
「言ってない!」
「いいえ、言ってる!」
「………。…お前が…俺に説教するなんてな。」
「…え?」
「俺も見くびられたもんだ。」
「………??博信……?」
「……これで…、チャラだな。お互いの腹のうち見せ合ったってことで。」
「…………。」
言われてみれば…、
こんなに感情をぶつけ合ったのは…初めてだ。
「いちいち、お前のいうことが正しくて…アタマに来る。」
「…え?……は?」
「今が…そのタイミングなのかもしれないな、確かに。」
「……ん?ええーと…?」
「…だから…、つまりは、俺が…自信がないんだ。今の状態で、仕事に集中できない自分がいる。それは…明らかにわこのに翻弄されてのことだ。なら、離れてしまえばいいのか?…いや、それも違う。お前がいなくなることは、考えられない。ますます…心配になる。」
「………?」
「言い訳だ。全ては。」
「………博信……?」
「…俺と…、離れない約束をしてくれないか?」
「え?」
「まだ、猶予はあるし言わなくていいと思ってた。でも……、その、チャンスをわこがくれた。」
「………。」