〔完〕 うち、なでしこになるんだから
「ああ、平気。」

「切り替え、切り替え!」

 梗子の声で、珠理以外は心が切り替わった。


 ボールを左腕でに抱えたまま、右手で前へ進むジェスチャーをしながら、

「上がって、上がって!!」

 無意識に出た。

 上がるっと言うのは、この場合は自分たちが攻めるゴールの近くへ行くこと。

 だいたい上がったところで、ボールを置いて、遠くへ蹴ろうかと思った。

 だが、ボールを置こうとしたら、九番がボールを奪おうとしたからやめた。

 そしたら後ろへ下がった。

 この隙に、絆へ投げる。


 今、シュート止められたことは、最近にしてはいい方だ。

 ただ、相手のファールを審判が見過ごしてたのは後味悪い。

 迷わず止めに行け無かったのはよくない。

 幸い、味方が戻ってきたからよかった。

 このシーンから見ると今、味方の心は緩んでいる気がする。シュートに持ち込まれたのは、南良能とあかりが緩んだ隙を突かれた結果だ。

 そう言ったら、自分も緩んでいるが。




 
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