〔完〕 うち、なでしこになるんだから
「大丈夫?」

 剛溜の上半身が起き上がった。全身砂まみれだ。

「あぁ。」

「二人とも、少し歩かないと。心臓止まるよ。」

 珠理は、剛溜の手を引っ張り、源希の手を引っ張って、立ち上がらせる。

「げほっ。げほっ。げほっ。」

 源希がむせている。

「無理しすぎたんじゃ・・・。」
「大丈夫・・・。げほっ。」


 何事もなければいいのだが。

 珠理は源希を気にしつつ、剛溜の全身に付いた砂を手で払い落とす。
 その間に、怪我がないか確認して、

「剛溜、どうする?」

「・・・、知らねー。」

 剛溜は怪我はないけど、少し疲れている様子だ。

「もうやめる?帰ろうか。」

 剛溜はうなずく。
 珠理は心の中で転んだ。


 源希の方へ一歩前へ詰め寄り、

「うちら、帰るから。ありがとう、剛溜の相手してくれて。」

 源希は何も反応しない、っていうかできない。

 今度こそ荷物をまとめ、家に帰った。



< 180 / 213 >

この作品をシェア

pagetop